β-クリプトキサンチンの脂質代謝改善作用 - 機能性食品素材 - アークレイ - アークレイ

機能性食品素材

β-クリプトキサンチンの脂質代謝改善作用

脂質代謝における作用メカニズム

β-クリプトキサンチンが脂質代謝を改善する作用において、現在のところ考えられているメカニズムは以下のとおりです。

  1. PPARγ(ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体ガンマ)のアンタゴニストとして作用します。
  2. 上記1の結果、前駆細胞(繊維芽細胞など)から脂肪細胞への分化を抑制します。また、脂肪細胞の肥大化を抑制します。
  3. 上記1の結果、脂質生成および中性脂肪合成に関わる遺伝子の発現を抑制します。そのために、中性脂肪およびLDLコレステロールを減少させるものと考えられます。
β-クリプトキサンチンの作用機序

図. β-クリプトキサンチンの作用機序

脂質代謝に関する in vitro 試験

レポーターアッセイ

レポーターアッセイによって、β-クリプトキサンチンがPPARγのアンタゴニストとして作用することが認められました。

脂肪細胞分化に及ぼす影響

マウス由来前駆脂肪細胞3T3-L1を用いて、β-クリプトキサンチンが脂肪細胞への分化を抑制することが確認されました。

DNAマイクロアレイ解析

脂質生成、中性脂肪合成に関わる遺伝子発現量の減少が認められました。また、遺伝子発現の増減は、PPARγのアゴニスト(ピオグリタゾン)と逆の傾向を示しました。

学会発表

第28回日本肥満学会報告 発表報告(2007年)

脂質代謝に関する動物試験

肥満・糖尿病モデルマウス(KK-Ay/TaJcl)に4週間、経口投与(混餌、pair fed)したところ、コントロール群と比較してβ-クリプトキサンチン投与群は以下の効果が認められました。

  • 耐糖能の改善
  • 血漿インスリン、遊離脂肪酸、レプチン、アディポネクチンの改善
  • 非脂肪組織(肝臓および骨格筋)中の中性脂肪濃度の減少
  • 肝臓および骨格筋における脂質代謝の改善
  • 脂肪組織におけるPPARγ標的遺伝子の発現量の抑制
  • 脂肪細胞の肥大化の抑制

結論として、β-クリプトキサンチンは糖・脂肪代謝異常の改善作用を有し、その一部は脂肪組織におけるPPARγの活性抑制作用によるものであることが示唆されました。

学会発表

第29回日本肥満学会 発表内容(2008年)

脂質代謝に関するヒト試験

19名の健康な女子学生を対象として、β-クリプトキサンチンを含む飲料で7日間の連続摂取試験を行ったところ、摂取前と比較して、血中の総コレステロール、LDL-コレステロールが有意に減少しました。

39名の肥満女性を対象として、β-クリプトキサンチンを含む飲料で21日間の連続摂取試験を行ったところ、摂取前と比較して、血中のHDL-コレステロールとアディポネクチンが有意に増加し、PAI-1に減少傾向が認められました。

7名のメタボリックシンドローム予備群の男性を対象として、β-クリプトキサンチンを含む飲料で8週間の連続摂取試験を行ったところ、摂取前と比較して、血中の総コレステロールとnonHDL-コレステロールが有意に減少しました。

総コレステロール及びnonHDLコレステロールの変化

図. 総コレステロール及びnonHDLコレステロールの変化

  • 総コレステロール:250.1±13.3 → 232.1±16.6 mg/dL (p=0.015, Dunnet)
  • nonHDLコレステロール:197.1±18.5 → 183.1±19.4 mg/dL (p=0.027, Dunnet)

学会発表

第62回日本栄養・食糧学会 発表内容(2008年)

脂質代謝に関する疫学調査

HDL-コレステロールとの関連

みかんのシーズンに温州みかんをよく食べることにより、血清中のβ-クリプトキサンチン濃度が著しく高くなる人はHDLコレステロールが年間を通じて高い傾向があり、脂質代謝に好影響を及ぼすと考えられています。

独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構 果樹研究所ホームページ
トップ>研究成果情報>平成16年度果樹試験研究成果情報
「ウンシュウミカンをよく食べる人はHDLコレステロール値が通年で高い」

酸化ストレス及び血清脂質との関連

みかんを多く食べる人ではみかんのシーズンにおいて酸化ストレスや血清脂質等の疾患マーカーがあまり食べない人に比べて有意に改善されます。

独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構 果樹研究所ホームページ
トップ>研究成果情報>平成13年度果樹試験研究成果情報
「ミカンを多く摂取するヒトにおける酸化ストレスと血清脂質の変化」

参考文献

  • 松浦信康:肥満研究. 9(1):86~87, 2003.
  • 矢野昌充, 他:果樹研究所研究報告. 4:13~28, 2005.
  • 岩本昌子, 他:β-クリプトキサンチン談話会要旨集:21, 2006.
  • 杉浦実:果樹試験研究推進協議会研究収録, 2007.
  • 大山夏奈, 他:肥満研究. 13(Supplement):288, 2007.
  • 大山夏奈, 他:肥満研究. 14(Supplement):173, 2008.
  • 佐々木貴生, 他:第62回日本栄養・食糧学会大会講演要旨集:234, 2008.