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ポリメトキシフラボノイドを含むカンキツ類

カンキツ類の種類による含有量と組成の差

ポリメトキシフラボノイド(PMF)の含有量と組成は、同じカンキツ類でも種によって大きく異なります。また、PMFを含むカンキツ類では共通して、果肉には少なく、果皮に多く含まれます。

ここでは商業的に生産されている代表的なカンキツ類について、PMFであるノビレチン、タンゲレチン、シネンセチンおよび 3,5,6,7,8,3′,4′-ヘプタメトキシフラボン(HMF)の含有量を比較します。

全果

全果でのPMF含有量の比較では、ノビレチンとタンゲレチンはシイクワシャーとポンカンに飛び抜けて多く含まれています。また、イヨカンとバレンシアオレンジにも少し含まれます。なお、ノビレチンとタンゲレチンは多くのカンキツ類で同時に存在しています。

シネンセチンはバレンシアオレンジに特有で、ポンカン、シイクワシャー、イヨカンにも少し含まれています。

HMFは、他の3種類のPMFと比較して大変低い含有量ですが、ウンシュウミカン、バレンシアオレンジ、ハッサク、イヨカン、カボスなどに存在します。

カンキツ類のポリメトキシフラボノイド含有量(全果)

図1. カンキツ類のポリメトキシフラボノイド含有量(全果)

果皮

果皮中のPMF含有量は全果中のおよそ4倍ですが、シイクワシャーとポンカンに飛び抜けて多く含まれるという傾向は全果の場合と同じです。これは、果肉中のPMFが果皮と比較して非常に低いことによります。

カンキツ類のポリメトキシフラボノイド含有量(果皮)

図2. カンキツ類のポリメトキシフラボノイド含有量(果皮)

果肉

果肉中では、ノビレチンがシイクワシャー、ポンカン、バレンシアオレンジに認められます。また、タンゲレチンがシイクワシャーに存在します。どちらも果皮と比較すると非常に低い濃度です。

カンキツ類のポリメトキシフラボノイド含有量(果肉)

図3. カンキツ類のポリメトキシフラボノイド含有量(果肉)

分類による差(田中長三郎博士による分類)

PMF含有量を田中長三郎博士による分類にあてはめると、商業的に生産されているカンキツ類でPMFが多く存在するのは、図4のとおり、「Ⅴ ダイダイ区」と「Ⅶ ミカン区」であると言えます。

柑橘属の分類によるポリメトキシフラボノイド含有量の特徴

図4. 柑橘属の分類によるポリメトキシフラボノイド含有量の特徴
(赤および青の文字のカンキツ類はポリメトキシフラボノイドが比較的多い)

さらに図5のとおり、ミカン区の5つの小分類においては、最もPMF量が多いポンカンとシイクワシャーが、より少ないウンシュウミカンよりも近い分岐に位置することから、PMFの含有量は小分類によっても規定されていることが推測されます。

ミカン区内の小分類によるポリメトキシフラボノイド含有量の特徴

図5. ミカン区内の小分類によるポリメトキシフラボノイド含有量の特徴
(赤の文字のカンキツ類はポリメトキシフラボノイドが最も多い)

参考情報

カンキツ類とは

生産量

前述のPMF含有量が最も多いカンキツ類(シイクワシャー、ポンカン)について、平成17年度と18年度の生産量は表1、表2のとおりです。

表1.シイクワシャーの出荷量(農林水産省:特産果樹生産出荷実績調査)
年度栽培面積(ha)収穫量(t)出荷量主要産地名(収穫量:t)
(t)うち加工向け(t)
H17135.21,141.01,122.91,056.8沖縄(1,126)
鹿児島(15)
H18184.51,278.01,079.31,036.1沖縄(1,260)
鹿児島(18)
表2.ポンカンの出荷量(農林水産省:特産果樹生産出荷実績調査)
年度栽培面積(ha)収穫量(t)出荷量主要産地名(収穫量:t)
(t)うち加工向け(t)
H172,358.429,261.425,376.01,001.5愛媛(8,434)
鹿児島(6,215)
熊本(2,994)
H182,260.025,968.022,247.0624.2愛媛(7,226)
鹿児島(6,142)
大分(2,330)

シイクワシャーは産地が沖縄県に集中していて加工向けの出荷量が多いのに対し、ポンカンは産地が分散していて生果として流通するものが多いのが特徴です。

ところで、PMFは果皮に多く含まれるため、PMFを濃縮するには加工される全果からまとめて果皮を得るのが、最も効率の良い方法です。

従って、濃縮されたPMFを高い品質で安定的に供給するには、シイクワシャーが最も適したカンキツ類であると言うことができます。

研究の歴史

カンキツ類に含まれるPMFに健康効果があるという研究は、1990年代ごろから本格的に始まり、2000年代に多くの研究者によって行われるようになったと考えられます。そして現在、日本をメインとして世界中の研究者によって、さまざまな健康効果への調査が精力的に進められています。

一例では、PubMedでnobiletinを検索しますと145報がヒットし、2005年13報、06年12報、07年30報、08年18報、09年6報(2009年6月時点)とノビレチン関連の論文の半数以上が5年以内に公表されたものとなります。

この分野における研究が、今後益々発展することを期待します。

参考文献